2017.8.14-18. 産業医科大学5回生大須賀さん

そこには先生方の強い決意と熱い情熱がありました

夏真っ盛り、のろのろ台風5号の直撃から1週間。奄美大島へ訪れました。

 行ってみようと思ったのは、「医の原点」がここにある、というHPの文言に非常に見せつけられワクワクしたこと、将来について悩んでいるなら来てみたらいいよ、と平島先生がおっしゃっていたこと、先輩からも勧められたこと、などからでした。

 

 奄美大島に着いて驚いたのは島の大きさと自然の豊かさです。無知な私は知りませんでしたが、沖縄、佐渡島に次ぐ大きさとか…!到着すると総務課の元さんに案内され、ご当地の郷土料理であるという鶏飯をいただきました。

実習1週間のスケジュールは以下のようでした。

 

AM

PM

1日目

平島先生初診外来見学

喜界島へ移動

観光案内

当直

2日目

喜界島徳洲会病院にて病棟回診・外来見学

奄美大島へ移動

車を借りて観光

3日目

平島先生外来見学

訪問診療

4日目

研修医の先生と病棟回診

フリー

5日目

小田切先生産婦人科外来見学

小田切先生レクチャー

その人の人生を尊重し歩み寄る姿勢はとても魅力的でした。

 平島先生の診察は、まさに「手あて」でした。患者のほうを向いて話し、患者の手を取り、最期までずっとサポートするから、という想いを強く感じる診察。先生の病歴聴取を聞いていると、具体的であり、その人の生活が浮かんでくるような気がしました。雑談っぽく聞こえるような何気ない会話も、仕事であったり趣味であったり、その人にとって生きがいを感じている部分の、その人のカギとなる情報をうまく聞き出していて、そしてその人にとっての生きがいを大切にしていました。叱るべき時は叱る。自分が悩んだときは悩んでいると素直に打ち明け、患者さんが悩んでいるときは一緒に解決策を模索する。その人の人生を尊重し歩み寄る姿勢はとても魅力的でした。

医療が成り立つのはそこに住む人がいるから。

 外来中でも、出演する番組や座談会、JPC2017の宣伝には余念のない平島先生でした。これらは住民と直接対話できる貴重な場ですが、自分が良いと思っているだけでは成り立たず、無理矢理押し付けるのも違う。住民の方の協力によって成り立っているんだと強く感じました。まず相手が必要としているニーズを知ること、そして同じ目線に立ってお互いの意見を交換し尊重しあうこと。これらを積み重ねる間に、島の健康と生活を真剣に考えている情熱が患者さんにも伝わっているのだと思います。快く行きます!、友人も誘ってみます!とおっしゃってくださる患者さんが多く、JPC2017参加者としてもとても嬉しく思いました。医療が成り立つのはそこに住む人がいるから。住民あっての医療。その基本を考えさせてくれました。

いつ起こるかわからない出産や緊急事態のために備える、ある意味で総合診療医のような仕事でした。

 平島先生のことしか知らないで行った奄美でしたが、1日お世話になった産婦人科の小田切先生も熱い思いを持たれていました。島に4人、病院に1人しかいない産婦人科医の先生であり、いつ起こるかわからない出産や緊急事態のために備える、ある意味で総合診療医のような仕事でした。もちろん学会や勉強会にも行けないですが、大きな病院にいてはできないような経験や、妊婦さんの希望に寄り添い、リラックスして過ごせるよう工夫の施されている陣痛室・分娩室、退院していく人を最後まで見届ける姿勢。多くのことに感動させられました。おもてなしの心とサプライズを大切にされており、伝え方についてもしっかり考えていらっしゃる小田切先生からメッセージはとても心に響いたものでした。

地域ならではの問題もいくつか垣間見ることができた

 地域ならではの問題もいくつか垣間見ることができたように思います。地域研修の研修医や応援の先生方によって病院が成り立っているため、転勤で担当の先生が変わることが多く、検査やフォローの方針が変わりやすいこと。夜間の検査が行えないため、緊急で送るか、入院させ明日まで待って検査するか、帰して明日の外来フォローにするか、を病歴と身体所見から判断しなければならないこと。これらを解決するためには、地元の若い人の力によって立て直すか、外部の人が覚悟を持ってその地で人生を全うすると決意するか、が必要となってくる。「先生が主治医なんだから、これからも責任もって診てもらうからね」、「活躍もすごいけど、奄美のことも忘れないでよね」と外来中に患者さんからの声がたくさん聴くことができました。これらの患者さんの想いを大切にしなければならないなと思います。

少しでも興味があると思ったら、やってみたらいい。迷っているのだったら行ってみよう。人生は1回しかない。

 1週間はあっという間でまだまだこの島の温かさに包まれていたいなと思いました。感じることは人それぞれだと思いますが、平島先生とお話ししながら、とても自分に勇気をもらえたような気がします。少しでも興味があると思ったら、やってみたらいい。迷っているのだったら行ってみよう。人生は1回しかないし、ゆっくり時間のあるのは学生のうちなので、今このHPを見ているアナタも、少しでも考えているなら、ぜひ奄美に行ってみてください!

 

 1週間の間、多くの先生方、研修医の皆さん、事務の方、お世話になりました。本当にありがとうございました。