2017/3/6-10 奈良県立医科大学 中村さん

今回、3月初旬の期間、奄美大島にて見学実習をさせていただきました。

行くきっかけとなったのは、昨年11月のチーム関西(関西の医学生で行っている勉強会)の宿坊合宿での平島先生の「自分探しするのなら、奄美大島においで」という一言でした。6年生になって医師になることを目前にし、医師になることを考えると迷うことが多くなっていた時期で、何か見つかるかもしれない、平島先生の情熱の源は何なのか探しに奄美大島に行くことにしました。

実習の予定は以下のようでした。

月曜日:宇検診療所にて外来見学→喜界島徳洲会病院へ移動、当直

火曜日:喜界島徳洲会病院にて病棟回診、外来見学

水曜日:名瀬徳洲会病院にて病棟実習→訪問診療同行→名瀬徳洲会病院にて当直実習

木曜日:宇検診療所にて外来見学→小学校にて学校検診→訪問診療同行

金曜日:産婦人科外来見学、分娩見学、講義

 

全日程の中で印象に残っていることは

①平島先生の大事にしている「手あての医療」、「すべては患者さんのために」という姿勢

②平島先生の病棟回診のスタイル(ベッドサイド教育)、すきま時間の研修医教育

③平島先生の情熱を燃やす原点

④小田切先生の離島での産婦人科診療に対する熱い思い

の4点です。

①平島先生の大事にしている「手あての医療」、「すべては患者さんのために」という姿勢

これについては平島先生が患者さんに接しているときに常に感じていました。初めて会う患者さんであっても気さくに、そして握手をして一言「一緒に頑張りましょう!」時にはハグをして「さようなら、また会いましょう!」患者さんに対しての声掛けは一般的だと思いますが、ハグまでしてしまう平島先生は多くの患者さんから愛されているのがわかりました。また、平島先生も愛情をもって一人ひとりの患者さんと向かい合っているということを感じることができました。

診療風景の中で、印象に残った言葉は「医師の人事って医師目線でしか決まっていないよね」という一言。あまり今までは意識せず、医師としてキャリアを積んでいく中で「異動になることもあるだろう」とドライに考えていたのですが、その一言で「『医師が異動になる』ということは『せっかく築いた医師‐患者関係をまた次の先生は一から作らないといけない』というだけじゃなく、患者さんにとっても『新しく赴任した先生と患者‐医師関係を作らなければならない』ということにもなる」ということも認識することができました。そう思ったときに、医学生として6年間を過ごしていく中で自分が「患者側の人間」から「医師側の人間」にすっかり変わり、考え方が医師中心になりつつあったということを反省することもできました。

②平島先生の病棟回診のスタイル(ベッドサイド教育)、すきま時間の研修医教育

実習期間中に行われた朝のPhysicalClub
実習期間中に行われた朝のPhysicalClub

もともと平島先生を知るきっかけになったのは市立奈良病院で行われていたPhysical Clubでした。そこでは知識としては非常に面白く学ぶことができたのですが、実際の患者さんでは診察を行うことはできず、大学の実習などでもPhysical Clubで得た知識を、自信をもって実践することができませんでした。

今回の実習では、すきま時間の講義や朝イチに行うPhysical Club、そしてベッドサイドでの診察の「作戦会議」で役立つ知識を教えていただき、そのまま患者さんの診察をすぐに行い、正常と異常の状態を比較できるという教育スタイルは非常にわかりやすく、鮮明に経験として蓄積されていくものでした。

診察だけでなく、医療関係者の感情についてもオスラーの「平静の心」で勉強会をしている部分も新鮮なものでありました。

③平島先生の情熱を燃やす原点

平島先生の机「聖闘士星矢」に限らずビジネス書、新書、映画など色々な本が置いてありました。
平島先生の机「聖闘士星矢」に限らずビジネス書、新書、映画など色々な本が置いてありました。

夜に平島先生と熱く語りあいました。詳しい話は載せませんが、平島先生の過去の話や今の先生に至るにあたってのターニングポイントだったときの出来事やそのときの平島先生の感情について詳しく聞くことができました。自分も医師になろうと思った時の純粋な気持ちを思い出し、これからの目標、夢を探していく情熱を自分も充填することができました。

④小田切先生の離島での産婦人科診療に対する熱い思い

最終日の金曜日の実習では産婦人科の小田切先生について見学実習となりました。小田切先生も非常に情熱的な先生で、離島の産科医療について並々ならぬ情熱をもって取り組んでいる方でした。ちょうど見学のタイミングで分娩もあり外来実習とともに非常に良い経験となりました。また、午後は小田切先生の医師になるきっかけ、奄美大島に来るまでの話、奄美大島に来てからの話について2時間近く講義をしていただきました。離島ならではの搬送の問題や地域に対する性教育などの取り組みなどについて伺うことができました。冗談ではなく人のプレゼンテーションで涙がこぼれそうになったのは初めての経験でした。

以上のように非常に多くのことを経験することができました。上記のこと以外にも訪問診療など、家庭医療、地域医療の中でChallengingな部分を「生で」見ることができたこと、映画”Dear Doctor”を観て医師のプロフェッショナリズムについて考えたことなどと今文章を書いていて本当にあの期間は1週間だけだったのかと考えてしまうほどに濃密な時間を過ごすことができました。

ただ、残念なことに、今、言葉にして書いていても「生で」離島での診療を見ることによって得られる感情を表し切れていない、先生方から伝わってくる「手あての大事さ」、「患者さんへの愛情」を伝えきれていないと思います。百聞は一見に如かず、ぜひぜひ奄美大島へ実習に行ってみてください!医師としての大事なものを得ることができると思います!

最後になりましたが、実習を受け入れてくださった病院、診療所の先生方、コメディカルスタッフの皆様、事務の皆様、本当にお世話になりました。ありがとうございました!