2017.2.27.-3.3.鹿児島大学医学部光廣さん

iPhoneを取り出して、診療中におばあちゃんと雑談する診療メンバー
iPhoneを取り出して、診療中におばあちゃんと雑談する診療メンバー

この度は、2月27から3月3日まで、名瀬徳洲会病院で実習をさせていただきました。フィジカルを学びたいと思っていたところ、先輩に「奄美の平島先生のところにいってきたらいいよ」と勧められ、日本中で活躍されている平島先生がいらっしゃるということで、問い合せのメールを送り、参加が決まりました。

1週間のプログラムは次のようなものでした。

月曜日午前中:名瀬市から車で約1時間の宇検村の診療所での診察見学

月曜日午後:飛行機に乗って喜界島へ。喜界島徳洲会病院で当直

火曜日:喜界島徳洲会病院外来見学、飛行機で奄美へ戻る。

水曜日:名瀬徳洲病院会外来見学

木曜日:再び宇検村へ。診療所見学、学校検診見学

金曜日:産科、小田切先生の診察見学。

学校検診中の平島先生
学校検診中の平島先生

驚いたのは、研修医の教育体制でした。朝の回診で研修医が平島先生にプレゼンするのですが、心不全、心音、めまいの鑑別など、患者それぞれのフィジカルネタを研修医に教えます。またレクチャーのポイントは、名刺サイズのカードにポイントを書きこみ、フィジカルカード(?)として研修医に渡します。名瀬徳洲会病院で研修をしたら、あのカードを何枚ゲットできるんだろう、とワクワクしたのは言うまでもありません。空き時間には、先生が作られたプレゼンを用いて、研修医とミニ勉強会のようなものも開いていました。また木曜日の朝には眼底鏡の使い方など、必要だけどなかなか学ぶ機会のないことも学ぶチャンスができました。

見学する前は「平島先生は、フィジカルを取りまくって、検査もせずにほとんど病気を言い当ててしまうんだろう」と思っていましたが、それはいい意味で裏切られました。ではなぜ「いい意味で裏切られた」のでしょうか?それは、平島先生の外来をぜひ見ていただきたいのですが…。

海の幸
海の幸

平島先生が一番重要視しているのは、患者とのコミュニケーションです。コミュニケーションといえば、何を思い浮かべるでしょうか?最初に患者さんが入ってきたときの挨拶、病気の問診、「お大事に」などの締めのあいさつ、などでしょうか?もちろんこれらのコミュニケ―ションを完全にこなすのも難しいとは思いますが、平島先生はこれらをしっかりと行ったうえで、かつフィジカルまでもコミュニケーションに含めてしまっているのです。患者さんにほとんど侵襲を与えないフィジカルとコミュニケーションを同時に行えれば、理想の診察となるはずです。

また、平島先生はいわゆる問診だけでなく、その患者さんの生活背景に目を向けるのも忘れません。とある患者さんとは、今の生活のことだけでなく患者さんの子供時代のこと、戦争のことなどで30分近く話していたでしょうか。平島先生のコミュニケーション能力、予備知識の多さなど、医学以外にも何度も驚かされました。フィジカルの技術の高さだけでなく、患者さんへのあいさつも、世間話もフィジカルも、全て自然体で行える、それが平島先生のすごさかと思いました。

高知山展望台からの加計呂麻島と夕日 絶景です!!
高知山展望台からの加計呂麻島と夕日 絶景です!!

また、宇検村診療所見学を2回、喜界島での訪問診療を1回見学させていただきました。地域医療の最先端であるような現場をこれだけ見せてもらえる機会はなかなかないと思います。これらの見学も、ぜひ楽しみながら参加してください。

金曜日は、産科の小田切先生について回りました。手術を1件見させていただきました。名瀬徳洲会病院唯一の産婦人科医として、胎児、妊婦、そしてお年寄りまで見ている小田切先生は、違った意味での総合診療医として、活躍されています。医療だけでなく、どのように快適に出産してもらうか、患者さんと医師の意見が合わない時はどうするか、なども教えていただくことができました。

そして、小田切先生の医者になった経緯、産科医になった経緯などを聞かせていただく機会もあり、先生の経験の多様さが、アクティブで、優しいいまの先生の人格を作り出していると感じました。

正直、今までは市中病院メインに、地域医療、という形で働こうかなと思っていたのですが、この経験を通して、地域医療をメインで支える仕事もかなり面白そうだなと思うようになりました。

奄美大島の大自然と優しい人々の中で、フィジカル、地域医療、離島医療を学ぶことができて、本当に素晴らしい経験でした。

お世話になった平島先生、小田切先生、事務の元さん、その他関係者の皆様、本当にありがとうございました。

宇検村診療所でお世話になった方々と一緒に
宇検村診療所でお世話になった方々と一緒に