まんが『ブッダ』に学ぶ 穏やかな働き方  手塚治虫著

有名な手塚治虫のまんが『ブッダ』の思想を仕事に取り入れよう、という面白い本を見つけ、早速読んでみました。これがなかなか、ためになります。私自身小学生の頃図書室で読んでいた記憶がありますが、細かいことは全く覚えていませんでしたが、大人になって、このように役立つとは思ってみませんでした。

その内容から、医療という仕事にも関連できそうな内容を一部紹介しつつ、私なりの考えをお伝えします。

いつやるの、今でしょ!

ブッダの思想にも、やはり「今でしょ!」が伝えられていました。明日の不安を抱いているうちに、死んでしまう、今やるべきことを一生懸命やる。ウィリアム・オスラー先生の考えでも、「防日区隔室」という表現で明日を憂うことなく今を生きよという言葉が出てきます。

今、日本中で毎年甚大な災害が起きています。他人事とは言えないレベルです。あなたは死を意識したことがあるでしょうか。明日死ぬならば今すべきことはなにか、そう考えて生きると一日の時間が貴重に思えるかもしれません。

最大の敵は自分

「一人の急変対応中に、別の患者の急変に呼ばれた」

「患者の家族から思ってもいないクレームを言われた」

「看護師と意見の食い違いにどうしても納得いかなかった」

こういった医療現場でイライラと自分を見失いそうになる経験は医師なら誰しも経験します。ですが、あなたが苛立ちを向けている相手はあなたをいらだたせようとしている訳ではありません。

『今、自分の中にイライラとした気持ちが襲ってきている。』と感じれたら、この言葉を思い出してほしいのです。

医療という仕事は自分との戦いである。

他者との意見の食い違いは、相手に期待をしすぎてしまっている自分にある。そう思えたらあなたと相手との間の諍いは消失するのです。

他人の幸せを願うこと

誰かの幸せを願うこと。これは医療の根源だと思います。一生懸命仕事をすることが相手の幸せに直結します。これほど恵まれた仕事はないのでしょうか。

災害になった時に日本人は助け合いの精神が世界一優れていることを先の東北大震災で示しました。

もう一度私達は生きるとはなにかを考えるときではないでしょうか。

未来を悲観しない

命に限りがあることを、医療人は目の当たりにします。救急外来に受診した患者の診断が末期癌だった。今日初めてあった患者に死の宣告をいきなり要求されることも少なくありません。医師・患者関係も築かれていない状況であなたはどのような配慮ができるでしょうか。

診察をしている医師も必ず死が訪れます。

そんな迷いにヒントを与えてくれるワンシーンです。後数年で死が分かってしまったアッサジは、未来を悲観しないことを選びました。

将来を悲観するよりは今を幸せに生きることを「選ぶ」のです。

たくさんの死と向き合う職業だからこそ、他人事と考えるのではなく、自分のことと考えてみるのも大事ではないでしょうか。